アートギャッベのこと

アートギャッベができるまで。

1 羊を育てる

高地で暮らすひつじたちは自らの身を守るため、上質な羊毛を見にまといます。寒いときは空気をためこみ、暑いときは湿気を発散して体温調節をする。そんなひつじの生きる力から生まれた羊毛は脂分も多く含み、しっとりとして肌触りの良い素材となります。

2 毛を刈る

羊の毛は年に2度、秋と春に刈り込まれます。冬を越して春に書き込まれる毛は上質な脂分をたっぷり含み、においもすくないため絨毯の素材としてはぴったり。高地のひつじの毛は毛足も長く、絨毯にした時の遊び毛も比較的少なく、絡まりやすいので耐久性も高まります。

3 糸をつむぐ

アートギャッベの羊毛は職人さんの手によって一本一本紡がれたもの。機械でつくる糸に比べ太さが均一ではないため、絨毯としており上がった時の素朴な表情へとつながります。

4 草木で染める

脂分を豊富に含んだウールは染めるのも一苦労。大きな窯に、草木や果物の皮などを粉末状にして入れ、じっくりと煮込みながら色を染めていきます。自然のもの同士の出会いから生まれる豊かな色合いが魅力です。

5 手織りで織る

アートギャッベを織るのは現地で暮らす女性たち。縦糸に一本一本糸を絡めては切ってを繰り返し、根気強く織り進めていきます。時にはあえて面白い色糸を織り込んだり、手織りならではのゆらぎを表現したり。人の手でつくられているんだなぁと思いをはせたくなる。そんな表情に仕上がっていきます。

6 裏面を焼く

織りあがったギャッベは工房に集められて仕上げの工程へ。そのはじめに、裏面をバーナーで焼いていきます。ウールは難燃性があり、焼いても燃え広がらずに焦げます。裏面に残ったチリチリした毛を焼くことによって裏面がきれいになり、耐久性も高まります。

7 毛足を刈りこむ

手織りで織られた一枚をより美しくみせる工程がこの刈り込み。同じくらいの長さに全体を刈り揃えていくのは熟練の仕事。ここまで数か月をかけて出来上がってきたギャッベの締めくくりとしても、とても大切な工程です。

8 洗う

金属の鎌のような道具でごしごしと大胆に洗います。ここでしっかりと力を入れて押し出しながら洗うことによって、遊び毛も押し出され、毛もほぐれていき柔らかで使いやすい肌触りとなっていきます。

9 乾燥させる

人間の髪と一緒で乾燥の仕方がとっても大切です。湿気の少ない環境で、直射日光のもとしっかりと乾燥させることによって、色合いも落ち着きます。ブラッシングをすることによって毛並みも整えられていきます。

10 縁をかがる

使いやすくするための最後のひと手間。ひと手間と言ってもこれも根気のいる工程です。ふさを出しっぱなしにするのではなく、巻き込みながらかがって、ふさのないすっきりとした印象と使いやすさが実現されていきます。

私たちが選定する時に大切にしていること

PRECIOUS THINGS

織りの細かさと、織りの詰まり具合

織り目の細かさは手織り絨毯において注目されるポイントです。ペルシャ絨毯をご覧になられたことがある方だとお馴染みのノットという表記も折り目の細かさをあらわします。その中で私たちが特に着目しているのが織りの詰まり具合、言い換えると縦方向にいかに糸がぎゅっと締まっているか、というところです。織りの細かさが特に糸の細かさの面に着目されているのに対して、長く使っていただくためには縦方向の詰まり具合が重要になってきます。それはつまり織り手の方たちがいかに一段一段丁寧に右の道具を使ってたたいて詰めているかということ。お店では実際の織り機や道具をご覧いただいて、その部分を詳しく体感していただいています。

背景の美しさ、日本の心に通じる「余白の美」

アートギャッベを眺めて、とてもきれい、と思わず目をとめ、しばし時間を忘れるような瞬間があります。それは文様の美しさや色合いももちろん関係している中で、特に背景の美しさが心を奪っているのだと確信しています。文様のないところでも糸の色合いが少しずつ変わり、そして織り手の女性があえて色々を少しずつ変えながら織られた表情。その「ゆらぎ」とも表現できる背景の表情の美しさを私たちは「余白の美」として大切に選定しています。木漏れ日の美しさ、水のゆらぎ、空にかすむ雲。世界はゆらぎが美しているといっても過言ではありません。アートギャッベを眺めながら、しばし余白の美をお楽しみください。

使い始めてから特に大切な、肌触りの良さ

実際のアートギャッベをお使いになられてからは、お家でゆっくりとくつろぐ、ということが大切な時間となります。だからこそ大切なのは肌触りの良さ。動物性の毛という観点で言うと、ウールも人間の髪も共通しています。人間の髪がシャンプーやトリートメント、そして何よりブローによって肌触りやなめらかさがまったく変わってくるのと同じように、ウールも仕上げの仕方で肌触りがまったく変わってきます。当然仕上げも職人の皆さんの手仕事。それぞれの個体差がでてくるため、一枚一枚肌触りを確かめながら、ずっと触っていたくなるような気持ちの良いアートギャッベをご紹介できるようにと吟味しています。

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